はやく俺のモノになればいいのに
ああ、惜しい。

いや。


……やっぱり全然惜しくない。


なけなしの100円だった。

最初の1回に賭けていた。


なのに気づけば

これで連続4度目の失敗。


もはや空振り三振バッター交代どころじゃない。


ただ、都合のいいことにこれは団体戦ではない。


あくまで個人戦だ。


仮に惨敗しても誰にも迷惑はかけない。


使っているのは私のお小遣いであり、どんな使い方をしようが自由だ。


それでは、あと1回。

もう1回だけ挑戦しようかという気持ちになってくる。


財布を覗けば都合よく1枚だけ100円硬貨が入っているではないか。


そいつが私に

『運命だね』

と語りかけているように感じてくるのだから、ゲームセンターという場所は恐ろしい。
< 2 / 553 >

この作品をシェア

pagetop