はやく俺のモノになればいいのに


重い腰をあげてやってきたのは、ボウリングって聞いていたから。


サクラが女を口説き始めて

4人じゃないなら帰ろう


そう考えた俺は、

3人を置いてエスカレーターを降りた。


ゲーセンを通りがかったとき


ふと


あんぐり口をあけ

クレーンゲームの前で、石みたいに固まっている女の子を見つけた。


(……なにあれ)


近づいてみると


少女が見つめるゲージの中に詰め込まれていたのは、猫のぬいぐるみがついたキーホルダーだった。


少女は

このままだと時間切れになって終わる、ということにすら気づいていないようだ。
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