はやく俺のモノになればいいのに


……ギブアップする気?


「諦めるのは早いんじゃないかな」


――――俺ならとれる


そう思って


その子に一つ、

キーホルダーをとってやった。


ただの気まぐれだ。

顔も覚えていない。


あとになって思い出すのは


重ねた手は小さく、やわらかく


そして


――……温かかったということ。
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