はやく俺のモノになればいいのに


部屋に来てたということは、あれかな。

幼なじみ……的な。

このマンションの住人だった、とか。


「彼氏とうまくいってるときはノロケてきて。こっちは勉強したり本読んだり体力温存してるっていうのに、かまわず話して。他にすることないのかよって呆れもしたんだけど」


彼氏いるのにユキさんの部屋に来るってどうなんだろう。


「そんな時間が。俺は嫌いじゃなかった」


――――ズキン


「交遊関係狭くないのにわざわざ俺を話し相手に選ぶってことは。それだけ無理しなくていいってことだから。俺で発散したいならしていけばいいと思った」


ヤバい、かも。


思った以上に……つらい。


「でも、そんな時間も長くは続かなくて」


私から聞いたことなのに。


苦しい。


「新しい彼氏ができたと聞かされると。胸がつっかえたような気持ちになって。それで別れたって聞くと、安堵するようになって。気づいてしまった」


ダメかも。


「……ああ。俺はこのひとを独り占めしたくなってたんだと」
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