はやく俺のモノになればいいのに
「……そうなんだ」


なるべく平静を装って返事した。


だけど

実柑の言葉にチクリと胸が痛む。


みゆき先輩は、あんなに素敵なのだ。

誘われて断る子いないんだろうな。


そう思うのに、チクチクする。


こんな感覚は生まれて初めて。


「大人びた爽やか男子、朝霧(あさぎり)先輩。生粋のプレイボーイ、桜井(さくらい)先輩。そして年上キラーの比嘉(ひが)先輩。校内はおろか街で女の子いるところをたびたび目撃されてる」


(……ん?)


「みゆき先輩は?」
「よくわかんない」


わからないってどういうことだろう、と考えながらお味噌汁をすする。


「なぜか御幸先輩の噂は耳に入って来ないんだよね」
「そっか」


ひとまず胸を撫で下ろす。

なんだろう、この安堵……。


「他の3人と違って、女っ気ないっぽい」
「へえ」
「御幸先輩ってさ。顔はすごく整ってるけど、髪型とかいまいち地味だよね。あのグループにいるのが、ちょっと不思議」
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