はやく俺のモノになればいいのに


ユキさんがそんな人だと、私はどうしても思えない。


もしも本当に冷たくて意地悪なだけの人だったら、気遣うようなことも、言わないんじゃないかな。


もっと私に甘い夢だけをみさせてきたんじゃかいかな。


「やめてって言っても。脅されて。乱暴されたら?」
「ユキさんはそこまで酷いことできる人じゃないよ」
「……モモが悪質な詐欺に引っ掛からないか心底心配になってきた」
「そのときは助けてくれますか」
「いいよ。俺がモモを苦しめたやつ皆殺しにしてあげる」


そんな物騒なことを言ったあと

ユキさんの顔が、近づいてきて。


「ごめん。俺。余裕ない」
「なにがあっても。受け入れます」
「……モモのバカ」


そっと唇を重ねてきたユキさんに


"幸せにしたい"って思わせる


顔も知らない誰かに


死ぬほど私は嫉妬してしまうんだ。
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