はやく俺のモノになればいいのに

むらむら……!


「この年の男なんて。たいていは盛りのついた猿みたいなもの」


さる。


「だけど人には知性も理性もあるからさ。セーブして。隠して。さも自分は安全であるかのように振る舞ったりね」


実柑も言ってた。

優しさの裏に下心ありって。


「ユキさん。サカリ……って?」
「発情期のメス猫は。大きな声で鳴くらしい」


生物の授業みたいになってきたぞ。


「鳴くんですか」
「発情期そのものは子孫を残すための本能で。オス猫に自分の居場所を知らせるためだと言われている」
「なる……ほど」
「俺がモモに欲情するのもまた。本能ではあるんだろうけど」


――――欲情


「でも。そんな、習性みたいな理由で済ませたくない。誰でもいいわけじゃない」
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