はやく俺のモノになればいいのに
「……うん」


そりゃあ、あんなにクレーンゲームの上手くて、優しくて、困ってる人を放っておけないような素敵な人が恋人ならハッピーだろうけど。


「だよね~!」


私がみゆき先輩と付き合いたいだなんて、高望みしすぎだよ。


「3年生って。もう来年には大学生だよ」


オトナすぎる、私には。


口数の少ないお兄さんと、面と向かってなにを話せばいいかわからない。


というか彼氏がどんなものかもわからないのだ。


男性と交際をスタートさせるまでに色々と勉強不足だと思う。


「この一年がチャンスだね!」


諦めモードの私とは裏腹に、勢いのある実柑。


そんなに私を恋する乙女に仕立てたいの?


「……応援する、とか言わないよね?」
「もちろんする!」
「もちろんの使い方おかしいよ」
「モモが御幸先輩と上手くいったあかつきには桜井先輩紹介して!」


なるほど、狙いはそこか。


「私が人気グループの男子と仲良くなれたら実柑も近づけるもんね」
「うん! お願いモモ。仲良くなって!」


実柑のそういう正直なところ、嫌いじゃない。
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