はやく俺のモノになればいいのに
好きだ。


モモが、好き。


それを今すぐ伝えたくてたまらない。


だけど――……


「痛い?」
「ちょっと」
「ごめんね」
「へ、平気です」


伝えられない。


「優しくしてくれて。ありがとうございました……って、ユキさん?」


好きだと伝える代わりに

抱きしめることしか、できない。


言えば不安にさせてしまう。


余計に傷つけてしまう。


だからといって抱きしめていたら意味がないか。


ふつふつと

沸き上がってくる、この感情の正体は


罪悪感などではなく


「幸せです。私は、永遠より。ユキさんが欲しい」


――――恐怖
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