はやく俺のモノになればいいのに
食べ終わって教室に向かう途中

お兄さんの姿を横目で確認したら、静かに友達の話に耳を傾けているように見えた。


自分から話さない、というのは本当なのかもしれない。


少しだけでもこっち向かないかなって考えたけれど、私が食堂を出るまでにお兄さんと目が合うことはなかった。


実柑のお気に入りである桜井先輩は、うしろから女の子に抱きつかれている。


あんなの恋人同士の距離感では!?


さすがプレイボーイ。

アレが彼の日常なのだろう。


「はあ。何番目でもいいから相手してもらいたいなぁ」
「……気は確かなの?」


何番目でもいいって。

それって。


……遊ばれていいってこと?


それとも桜井先輩にはカノジョがたくさんいるの!?


「だってさ。あんなにカッコいいんだよ? 抱かれたいにきまってる」
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