はやく俺のモノになればいいのに
実柑みたいに考える女の子って、案外多いのだろうか。

でなきゃ人気者にはなれない。



「私は……ひとりの男の子と、段階を踏んで仲良くなっていきたい」
「さすがモモ」


実柑は、私の恋愛遍歴を実柑は把握している。


彼氏がいたことがないことも、初恋は昔近所に住んでいた男の子だってことも、洗いざらい聞かれてしまった。


「モモの彼氏になった人は大変だね。キスするまでに何ヶ月かかることやら」
「きっ……」


キスって、あの、

唇と唇が重なり合うアレのことですか。


「実柑」
「んー?」
「……キス。したことある?」
「もちろん」


大人だっ……!!


「好きな人と触れ合えないとか。考えられない」
「ふ……ふれっ……」
「モモみたいな女の子は、王子様みたいな人に優しく包まれるのが合ってるよね」


ちょっと想像してみて、すぐに頭を大きく横に振った。


「別に王子様じゃなくていいよ。普通で。大切なひとができたら、ずっとそのひとと、おじいちゃんとおばあちゃんになるまで一緒にいたいな」
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