はやく俺のモノになればいいのに

「お静かに」


カーテンの向こうから、谷崎先生がやってきた。


「ここがどこか。おわかりですね?」


その言葉にイチヤくんが少し冷静さを取り戻したように見える。


舌打ちしたあと

つかんでいたユキさんの胸ぐらから手を離した。


「聞いたか桃葉。やっぱコイツはホンモノのクズだ。お前が悲しんでるのに喜んでやがる」
「モモと2人にして」


ユキさん?


「お願いだから。話をさせて」


様子が、ヘン――……


「ねえ、モモ」


両手で顔を覆うユキさんの表情が見えない。


「モモは。俺を選ぶよね?」

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