はやく俺のモノになればいいのに
俺の父親は、自分と同じ道を俺に歩ませるために必要なものや知識を与え続け


それ以外のものを"不必要"として排除していた。


子供らしい遊び道具も揃えてもらった試しがない。


小学校卒業時には大人も読めないような難読漢字を読み書きでき、学校に行く前には英語で書かれたニュース記事を読まされていた。


寄り道なんて必要ない。


用意されたもの以外を選ぶのは無駄だ。


そう教わり従っていたはずなのに、


「今からやっておいたらレギュラーになれるんじゃない?」


まどかのそんな一言に

単なる思いつきに


俺の人生は、あっさり覆されたんだ。


中学でバスケを始めた。


それについて父親は

自由にやれ、とあっさり許可してきた。


"寛大"でなく"無関心"。


社会人になった俺が自分の駒になる未来を疑いもしていない。


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