はやく俺のモノになればいいのに
「君って。チェリーくん?」
塾の自習室で、たまに顔を合わせる程度の先輩がいた。
それが誰かなんて知らない。
とびきり派手な亜麻色の長い髪が印象的だったから目についただけの存在が
「なーんか、他の子よりずっと大人びてるけど。そっちの方あんまりって感じ」
無視しても、絡んできた。
「興味ある年頃でしょ」
襟元の大きくあいた服を着て
「欲は。それなりにあったり?」
そこから谷間をのぞかせて
「……だったらなに」
「うちが初めてもらってあげる」
飲食禁止のブースで棒つきの飴をなめ
上目遣いで俺をみてくる下品な女に
「俺に相手して欲しい――の間違いじゃないですか」
少しも好感は抱けなかったけど
「生意気なとこかわいいね」
空気くらい軽い好奇心で、誘いに乗った。