はやく俺のモノになればいいのに
そのあと
「おかえりー」
うちに帰ると答え合わせさせられる。
俺が抱くのは名前も覚えていない女で
俺が欲しいのは、
――――この女性だと。
「頑張ってるね。受験生」
とっくに始まっていた
ということに、気づいたのはこの頃。
「あ、電話だ。もしもーし」
取り上げて切ってやりたいと思った。
「今? 家だよ。どしたの」
無防備なうなじに、簡単には消えない痕をつけてやりたいとさえ。
思うだけで
俺からは指一本、触れたこともない。
ただ、まどかと俺の時間を邪魔する他人へ憎しみを募らせるしかなかった。