はやく俺のモノになればいいのに
「すごく誠実な人だよ」
まどかは、その恋を育んだ。
「ありがとね、リト。リトが支えてくれたおかげで"人生捨てたもんじゃない"って思えたんだよ」
これまで付き合ったどの男よりも続いていたし、そいつへの不満は、少しも口にしなかった。
いっそのこと上書きしようとした。
報われない恋ならば忘れてしまおうと。
「ユキも、たまにはおいでよー」
普段ならパスする合コンに参加し
「先に帰る」
やっぱり微塵も興味わかなくて
「待って」
「……なに」
「みんなにはナイショで。2人で抜けよ?」
その場限りの関係をもってみたりもしたが
心までは動かなかった。
どういうわけか
いつまでたっても
俺が欲しいのは、まどかだった。