はやく俺のモノになればいいのに
「プロポーズされた」


大袈裟でもなんでもなく


死刑宣告かと


そうでなければ、この世の終わりかと思った。


「私、幸せになってもいいのかな」


まどかは、ずっと俺に後ろめたさを抱えていた。


俺がまどかのために暴力をふるい、その理由を隠し続けていることに、罪悪感を抱き続けていたのだ。


「なってくれなきゃ。困る」


俺は、まどかの結婚の後押しをした。


気持ちを隠し強がった。


結婚しても、諦めきれなかった。


いつまでも応援するフリして傍にいよう。

心のうちを隠して。


いつか、まどかが弱ったら。


そのときは俺の元に還ってくる。


願わずにはいられない。


「たまにご飯作りに来てあげるからね」
「来なくていいよ」


……はやく俺のものになればいいのに。
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