はやく俺のモノになればいいのに
天からの声かと


そう思ってしまうくらい


透き通るような

耳をそっと撫でるような


心地良い声が、聞こえてきた。


はあ。

ついに幻聴まで聞いてしまった。


たしかに伝説のバスケ漫画の某監督は

『諦めたらそこで試合終了ですよ…?』

なんて名言を残しているが。


ここから挽回するなんてとても――


「急がないと」
「へっ」


2番目のボタン前で待機させていた私の右手に被せられたのが――


大きく骨ばった男の子の手、ということに気づいたのはもう少しあとの話で。


「まだダメ」


甘く、囁かれる。
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