はやく俺のモノになればいいのに
「……うちらを脅すつもり?」
「ザコ脅してもクソほどに楽しくねーけどよ。そうだな。さっきの動画をお前らの進学希望先や就職先に送りつけるか。親の会社でバラまきもすれば。ちっとはダメージくらって大人しくなるか?」
イチヤくんは、
面白おかしく話しているけれど
――――目が笑っていない。
「顔隠してイジメ動画としてネットに投稿して。拡散されたのちに誰かに特定されてもゲームみてえで愉快かもな。そのあいだ、お前らは、せいぜい脳味噌スカスカな頭で低レベルな言い訳考えてろや。まあ。3日とたたないうちにお前らの住所や本名、過去の恥ずかしい話まで広まって。そうなると、どんな言い訳も通用しなく――……」
「イチヤくん」
先輩たちが、ガクガクと震えている。
「もう、いい」
「でもよ。こういう根性歪んだ人間に甘いこと言ってたら。またなんか企みやがるぞ」
「……これ以上この人たちが、私や、私の周りの大切な人になにかしようって考えたら。そのときは。イチヤくんに助けてもらう」
そんな風にも、もう、見えない。
心底イチヤくんに怯えているのがわかるから。