はやく俺のモノになればいいのに


「そうかよ」


ため息をつくと、


「いいか。二度と桃葉に関わるな。時効なんてねぇぞ」
「わかった。関わら、ない……だから、動画は消してよ」
「アホか。消すわけねーだろ」


イチヤくんが先輩たちを追い払った。


プールサイドに2人きりになる。


「ありがとう」
「おう」
「でも。ちょっと。やりすぎ」
「お前がぬるいだけだ。いくら桃葉がわかり合いたくても、話し合いで理解し合えない連中もこの世の中にはいるってこと。忘れんな」


イチヤくんの言う通りだ。

あの人たちは、


"わかった。関わら、ない……だから、動画は消してよ"


最後まで自分のことしか考えていなかった。


自分の後輩や私を傷つけたこと、なんとも思っていなかった。

むしろそれが正しいと信じていた。

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