はやく俺のモノになればいいのに


ユキさんを想う気持ちが歪みに歪んで、あんな風になってしまったの?


「イチヤくん。どうして、ここに」


用事でもなければ来ないような場所だ。


「オッサンから呼び出された」
「へ?」
「保健室にいた、あの男。桃葉が受け取ったとき。手紙こっそり読んでたんだ。わざとボールあてられた話も聞いてな。やべえことになってそうだと思ってダッシュしてきたら案の定リンチされてやがった」
「……谷崎先生」
「ったく。無視しろよ。行けば危ない目に合うって想像ついたろ?」
「逃げちゃダメと思った」
「だったら俺を呼べ。へなちょこのクセに考えもなしに一人で行くな……って」


――――ドボン


「桃葉、なにしてんだ!」


ジャージのままプールに飛びこんだ。

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