はやく俺のモノになればいいのに
「黒ごま!」
「は?」
「猫のキーホルダーが。どこかに沈んでる」
どこに行ったの。
網の向こうに流れていったりしてないよね?
「キーホルダーくらい。俺が。いくらでも――」
「あれじゃなきゃダメ」
ひとまず携帯を拾って
プールサイドに置いた、そのとき。
「はやくあがってこい」
イチヤくんに腕をつかまれ、引っ張りあげられた。
ストン、とプールサイドに立たされる。
「待って。まだ見つかってない」
「ったく。こんなに濡れて。しばらく安静にしてろって言われてる人間が」
「え、ちょ……」
イチヤくんがジャージを脱ぎ始める。
上下すべて脱いで
携帯や財布を床に置き
下着一枚になったイチヤくんが、
プールへと入っていく。