はやく俺のモノになればいいのに
「なんてカオしてんだ」
プールからあがってきたイチヤくんが
私の頬に、手をあててくる。
「っ、イチヤくん……服、きて」
肌色が多い。布を羽織って。
私のハンカチでイチヤくんのカラダふいてあげたいけど私の方がびしょびしょだった……!
「謝んな」
「え?」
「俺がそうしたいから。してるだけだ」「……優しいよね」
「さっきの女どもは俺を悪魔でも見るような目で見てきやがったがな」
「イチヤくんは味方してくれると心強いけど。敵にまわしたら怖い」
「優しいだけじゃ守れないものも。あるからな」
そういうと、自分のタオルで私の頭をふいてくる。
「え、私はいいから……!」
「俺が桃葉の敵になることはねえから安心しろ」
「っ……うん」
「お前の周りの敵を全滅させることは。あってもな」
「ぼ、暴力ハンタイ」
「黙れ軟弱ヒロイン」
イチヤくんは、小さな頃に見た、戦隊モノのヒーローみたい。
「――……か」
「え?」