はやく俺のモノになればいいのに


光陰矢のごとし。


テストが終わると、学園祭の準備に入った。


うちのクラスは演劇をする。


「なにかやりたい演目ありますか」


実行委員の呼び掛けに、いまいち乗り気でないクラスメイトたち。


というのも、

大本命の模擬店に抽選で漏れてモチベーションが下がっているのだ。


「はいはーい!」


ここで手をあげたのは、実柑だった。


「上野さんどうぞ」
「イチヤをヒーローにしたらお客入るでしょ」


男子が、

「他校から女の子いっぱい来るんじゃね?」

目を輝かせる。


「だから、演目はイチヤにハマりそうな役のキャラが出てくるものにしよ!」


そんな無鉄砲ともいえる提案をできるのは実柑くらいではないだろうか。


「と、いう意見が出ていますが。市村(いちむら)くん」


実行委員が、遠慮気味に、イチヤくんに意見を聞く。
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