はやく俺のモノになればいいのに
「シャクの都合で展開はやくなっちゃうなー」
テーブルの上に紙を置き、プロットを練っている実柑。
台本を作る前のおおよその流れやオチを書き留めておくものだ。
「監督みたいだねー。上野ちゃん」
「みたい、じゃなくて。監督だし」
「全部クラスのやつに任せて俺と時をかけようよ」
「一人で未来でもなんでもかえって。待ってなくていいよ」
実柑と桜井先輩バージョン見てみたい気もする。
「モモ。イチヤといい感じになっちゃうの」
と、ユキさん。
「たしか。両片想いっぽい話だったよね」
「それは……実柑のアレンジ次第です」
「そっか」
ユキさんに視線をチラリと向けると
「目が笑ってないね」
朝霧先輩がつぶやいた。
「ミカンちゃん」
「なんでしょう御幸先輩」
「モモとイチヤが永久に会わない世界線にしようか」
「却下します。物語が始まりません」
「劇の中のことまで難癖つけんなバーカ」
イチヤくんが呆れている。