はやく俺のモノになればいいのに


普段は穏やかだけれど、

時々こんな風に平気で無茶なことを言ってしまうユキさんは


2人きりのときは――……


「じゃあね。モモ」


一緒にバスを待ってくれ

見えなくなるまで手を降ってくれる


とても優しい彼氏さん。


私には勿体ない。


……すき。


大好きです、ユキさん。


でも。


「なんでキスしてくれないの?」
「知るか」


彼女になってから、一度も、ない。


「イチヤくんとの約束守ってるのかな。ハグまで……って」
「あれはとっくに解除したろ。つーか。打ち合わせ中にくだらねえ相談始めんな」


数日後の放課後


各班に別れ、劇に向けての準備を進める。


部活やバイトのないイチヤくんや実柑、私みたいな子は原則残っていた。


「私の味方……だよね?」
「あー、やる気失せた。帰って一人で台本読んどけや。100回な。物覚えわりいんだから」


監督よりもスパルタ。


「付き合ってくれないの?」
「はあ?」
「家近いんだし一緒に練習しようよ」
「ンなことしてみろ。埋められる」


……うめ、られる?
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