はやく俺のモノになればいいのに


――――キス、されるかと思った。


「挙動不審なモモも。かわいーけど」


そういって、離れていく。


やっぱり勘違いなんかじゃない。


「……なんで」


距離を、感じる。


私は……

私はこんなに、好きが溢れてしまうのに。


ユキさんは満足できてるの?


今の距離感がちょうどいいの?


「モモ?」


私に腕を捕まれたユキさんが

綺麗な顔をこてんと傾け、見下ろしてくる。


なにを言えばいいか、わからない。

ううん。


わかってる。


でも、言うのが、恥ずかしい。


「ねえ、モモ」


本当は私のこんな気持ち全部

とっくにユキさんにはバレちゃっていて

なのに

知らんぷりされているんじゃないかな。


「思ってることあるなら。聞かせて欲しい」
< 489 / 553 >

この作品をシェア

pagetop