はやく俺のモノになればいいのに


――――こわい


「病院と精度の変わらない検査薬が市販のものである」


ケンサ……ヤク……?


「まずはそれを使おう」


どうしてユキさんは、落ち着いていられるの。


こんなときに。


「結果は。俺と、一緒に見よう」
「……ユキさんと?」
「今から買ってくるから。俺の家で検査しよう。結果が出るのに3分くらいのもので。簡単に使えるから、大丈夫。痛みもない」


……ちがう。


生理がないと知ったとき、驚いていた。


ユキさんも、妊娠は、あくまで可能性のひとつとして想定しているだけで。


それが現実味をおびて、内心穏やかではないはずで。


それでもユキさんが慌てると私が不安になるから、そうしてくれているのだろう。


生理の知識がしっかり頭にあるのも

検査薬のことを知っているのも


いざというときに戸惑わないために

自分に無関係だとは思わずに

調べていてくれたのかもしれない。


どうでもよければ

こんな風に、向き合わない。

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