はやく俺のモノになればいいのに
それからユキさんが、通える範囲にどんな病院があるかを調べてくれた。
「ここ、どうかな。ネット予約可能で待ち時間が短縮できて。綺麗で。先生が、女性なんだって」
女の人だとみてもらいやすい……。
「俺。最近ちょっと忙しくしてたろ」
ユキさんは、受験生だから。
予備校行ったり、ないときは、家で勉強しているんですよね。
「司法試験の勉強してる」
――シホウシケン?
「父が弁護士で。同じ道を歩むことを望まれていて」
「……弁護士さん」
「正直、それを特別やりたいかって言われると。わからない」
「だけど」と、まっすぐに見つめられる。
「はやく一人前になりたい。モモたちのためだって思うと。なにするにも、すごくモチベーション上がるよね」
モモ"たち"
「春になったら大学に通う傍らパラリーガルとして雇ってもらうことになっているから、俺の給与は全部、モモに使ってもらえたらなと思う」
「えっ……いや、全部なんて」
「忙しい毎日になるとは思うけど。自由度は社会人より遥かにあるからさ。モモとの時間を大切にできる」
「無茶しないでください、ね」
「させてよ。モモが頑張るのに俺が怠けていてどうするの」