はやく俺のモノになればいいのに


普段スマホみないユキさんがそんなアプリ入れちゃうのビックリです。


「きちんと妊婦検診には通ってもらう」
「え?」
「モモが安全に、安心して出産の日を迎えられるように」
「……はい」
「モモの負担を軽減できるように。サポートしていけるといいんだけど」


ユキさんは歪んでいるところもあるけれど、私をまっすぐに想ってくれている。


「検診ってどんなことするんでしょう」
「胎児の心音確認したり。モモは血液検査したり、体重や血圧の測定したりかな」
「なる……ほど」
「最初のエコーで見られる胎児は。豆粒みたいに小さいらしい」


まめつぶ……?


「でも、モモの場合は。それよりはずっと大きくなってるかな」


そっと、お腹に手をあてられる。


「今は、情けなく、かじれるスネはかじって。でも。いつまでもそうはしていられないから。はやく俺がモモに安定した生活させてあげられるようにならないとね」


ユキさんが、私に人生を捧げようとしている。
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