はやく俺のモノになればいいのに


「ほんとに退学するの?」
「うん」


友に、すべてを、打ち明けた。


「休学して戻ってくることもできる……よね」


実柑の言葉に、頭を、横に振る。


「やりたいこと……ううん。やるべきことができたの」
「それはここにいたら、できないんだね」


頷いてみせる。


「実柑と友達になれて。ユキさんに恋して。イチヤくんが転校してきて、素敵な先輩たちと過ごして。学園祭では勇気を出して舞台に立てたこと。一生の宝物になった」
「モモぉ」
「もしも実柑が、こんな私のこと」


後先考えずに

周りをみずに


恋をしてしまった、私のこと


「まだ友達って思ってくれるなら。生活環境は違っても。仲良くしてもらえたら……嬉しい、です」
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