はやく俺のモノになればいいのに
「声が大きいですよ」

カーテンの向こうから谷崎先生のツッコミが入る。


騒ぐなっていうよりは、ナイショ話なら小声でした方がいいのではないですかと言われている気がした。


「モモは別に隠すような悪いことしてないよねー」


谷崎先生は、気にしてくれているのだ。

噂がたったりしたら傷つくのは私だと。

それに友達である実柑も、私が自主退学したあと、居心地が悪くなるかもしれない。


「持ってきてないけど。もらったよ」
「また見せてね~! 遊びに行くし!」
「検診、予約で待ち時間ないところ近くに探してくれて。付き添ってくれて。周りからの目……世間の冷たい目を気にしないように、してくれてる」
「そりゃ、こんな可愛いモモを独り占めしておいてさ。生半可なことされたら。死刑だよ」
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