はやく俺のモノになればいいのに
「……また心配かけてるね。私」
イチヤくんは妊娠の報告をしたとき
なにより私のカラダのことを心配してくれた。
「よく、おばさんたち説得できたな」
「私の両親。けっこう歳いってるでしょ」
それは、妊娠の報告をして初めて知らされた事実だった。
「お母さんは、妊娠しにくいカラダで。私を授かるために、長く治療を続けていたんだって」
妊娠することが、子供を授かれることが、どれだけの奇跡か伝わってきた。
「"可愛い娘にできた赤ちゃんが可愛くないわけない"って、言ってくれた」
「……そうかよ」
「親になることについて、楽しいだけじゃなくて、大変なことも。たくさん話してくれた。それを聞いて私、涙がでてきたの。こんなに愛されていたんだって。全然お父さんとお母さんの苦労わかってなかった」