はやく俺のモノになればいいのに


「……よかったな。でもよ。お前の子育てを応援するのと。あの男を認めるのとは違うからな」
「お母さんがね」


この選択は、リセットも、リタイアもできない。


「ユキさんが挨拶にきてくれたとき、誠意をみせてくれて。それで、許してもらえたけど。もしも今信じられるユキさんが、突然信じられなくなるようなことがあったとして――その程度のことで子供が愛せなくなりそうなら。今ある決心が揺らぐなら。親でい続ける覚悟もないなら。男に依存してしか生活できないようなら。諦めなさいって」


甘やかせてもらえるのは、子供のうちだけ。


大人になるのは自由と引き換えに責任を持つということ。


親になるというのは人ひとりの人生を背負うこと。


「産むからには協力してあげるけど。あくまでその子の親はあなただから。しっかり自覚を持ちなさいって」


それは、いきなり持てるものでもないって。


「お母さんも、そうだったよって。育てながら一緒に親になれたし。今も完璧じゃないけど。あなたのこと愛してるから頑張ってこれたっ……て」
「桃葉」
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