はやく俺のモノになればいいのに


知り合いに、まどかさん以外の妊婦さんがいないだけに、とても心強かったりする。


こんな風に話せる相手がいて嬉しい。


もしも


周囲の理解が得られなければ

孤独な中での出産になっていたら


「一緒に買い物したりしようね~」
「よろこんで……!」


お金が、なければ


果たして同じ選択をできていただろうか。


こんな風に笑って、はやく赤ちゃんに会える日を心待ちにできているのは、恵まれているから。 


そんな環境、そして


支えてくれるすべての人たちに心から感謝の気持ちを忘れないでいたいと思う。


「あの男を説得しちゃったんだよね。リト」


――――あのおとこ


ユキさんのお父さんのことだろう。


まだ、挨拶できていない。


忙しい人で帰りは夜中だったり、何日も帰ってこない日もあるそうだ。


「あたしは馬が合わなくてねー。リトも親子らしい会話してるの聞いたことないかな。どんなマジック使ったんだか、さっぱりだよ」 


私たちの赤ちゃんが生まれたら

……孫が、誕生したら


抱っこしてもらえるだろうか。


してもらえるといいな。
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