はやく俺のモノになればいいのに
塩分や油ものを控えたり、鉄分しっかりとったり。
「そりゃそうだろ。宝モンが。腹の中にいるんだ」
イチヤくんの言葉に、
みんなの視線が私のお腹に向いたとき
インターホンが鳴った。
「あー、もしかして。パパが会いに来たんじゃない?」
「え?……でも」
ユキさんは、今日は大事な用事があるとか言ってどこかに出かけている。
たぶん受験関係の用事だと思うから、ここには来ないと思うけど――……
「モモ」
うちにやってきたのは、スーツを着たユキさんだった。
カッコいい……!
じゃ、なくて。
「どうしたんですか。その格好」
「お手」
「へ」
右手を差し出すと、「反対」って言われて左手を出した。