はやく俺のモノになればいいのに
「……今日。雨が好きになりました」
「ふーん。そうなんだ」


ドキドキが一層増していく。


だけど


『からかわれてるんじゃない?』


実柑の言葉が、頭をよぎる。


こんなに素敵な人が、私みたいな、ごくフツウの高校生にかまってくれる理由がやっぱりわからない。


でも、からかうような人だとは、思えない。


……思いたくない。


きっとユキさんは、天然なんだ。

そう。

天然の、たらしさん。


自分のその言葉にどれだけ女の子が心を乱されるか、気づいていないんですね……!


「ありがとうございました!」
「え?」
「ゲームセンターで。声、かけてくれて。手伝ってくれて。一生の宝物にします!」


そう言って鞄にぶらさがっている黒ごまをギュッと握る。
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