はやく俺のモノになればいいのに
「一生の宝物?」
「ハイ……!」
「うん。大切にしてやって」


絶対に、絶対に、大切にします。


「そうそう。迎えに行ってきたよ」


なにをどこに迎えに行かれたのですか。


不思議な先輩は、今日も不思議です。


返答に困っていると


「ほら」


ユキさんが真っ黒なリュックから取り出したのは――


「モモ」


カフェ猫シリーズの、ピーチだった。


「これが欲しかったんだろ?」


猫のぬいぐるみがついたキーホルダーを、ゆらゆら揺らしている、イケメンさん。


なんてシュールなの。


……に、似合わない。


いつものクールさどこに行きましたか。

ピンクの猫ってどうなんですか。

口数少ないキャラじゃなかったんですか。


なんでそんな可愛いものを手に持って、話しかけて、微笑んでくれているのですか。


そのギャップは反則ですよ……?
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