はやく俺のモノになればいいのに
――ドクン


心臓が、跳ねた。


「だから。あげない」


ユキさんの言うモモって

カフェ猫の、ピーチのことなのに。


「顔。赤いね」
「え、」


慌てて顔に手を当てるまでもなく、自分の体温が上昇しているのがわかる。


だって。


さっきの、


【モモは、俺の】


まるで私がユキさんのものだって言われたみたいだったから……!


もちろんそんなこと、ぜったいにない。


あるわけがないのに。


紛らわしいです、ユキさん。 


ほんとに天然ですか。


それとも――わざとですか?


「全部もってこようか」
「見せてくれるんですか?」
「あげる」
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