はやく俺のモノになればいいのに
小さく一歩、ユキさんに、近づく。


それだけのことに、すごく勇気がいる。


私は、あなたとの距離を縮めるのに、こんなにドキドキする。


なのにあなたは、簡単に距離をつめてくるんだ。


長い脚で

大きく一歩、近づいてくると――


「かわいいのは、こっちのモモ」


頭にふわりとなにかが被さった。


それがユキさんの大きな手だと気づくのにかかった時間、およそ10秒。


「うん。かわいい」


ユキさんが、細く長い指に、私の髪をからめてくる。


キュッと口角を上げ、


「ヨシヨシするの。日課にしたい」


なんて手ぐししてきた。


どんな日課だ。

謎すぎる。


けれど、そうなると、毎日会えますね。


是非ともその日課、実行してもらいたいものだ。
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