はやく俺のモノになればいいのに
ユキさんの指が私から離れると

それが妙に名残惜しく感じてしまう。


もっと触れていてもらいたった。


せめて雨がやむまでは。


むしろ私だってユキさんのサラサラな黒髪、触りたくてたまらないんですけど


……なんて。


私はヘンタイか!?


というか届きませんけどね高くて!!


「つけてくれる?」


ピーチを手渡され、背を向けられた。


リュックにキーホルダーをつけてと頼まれたのだ。


「下のチャックのとこでいいですか」
「うん」


手が、震える。


なぜか息も止めたい気持ちになってくる。


たかがキーホルダーのチェーンの付け外しに緊張する日がくるなんて思わなかった。
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