はやく俺のモノになればいいのに
ハグしてる。


私、ユキさんの、腕の中にいる……!


「なんでって。そんなの」



【あの人はやめておいたほうがいいかもしれない】



「あまりにも、モモがかわいくて」



【なんか危ない感じがしたんだよね】



無理だよ、実柑。

このひとを好きにならない方がおかしい。


「こんなところ。誰かに見られたら、大騒ぎに……なりますよ」
「見られない場所なら。もっと長く抱きしめていい?」
「……っ」


――どうして


「雨、もうやむね」


やまないで。

お願い。


「やんだら、」


ずっと降っていて。


「うち来る?」


――え?


「おいでよ」


たとえユキさんが毒を持つ綺麗な花のような人だとしても。

きっと私はそれを知った上でユキさんのことを――


「モモとゆっくり過ごしたいな」


好きになる。
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