はやく俺のモノになればいいのに
「モモ!」
翌朝、登校すると
実柑が猛ダッシュで私に駆け寄ってきた。
そんなに慌てなくても、となりの席なのに。
「おはよ――……」
「来て」
腕をがしっと掴まれ、わけがわからないまま、女子トイレまで連行されてしまった。
「なにを聞かれるか、わかってるよね?」
わからない。
「放課後デートについて」
……は?
「ほうかごでえと?」
「とぼけても無駄だからねー。昨日。どこ行ったの」
「昨日の放課後……は」
「うんうん」
「委員会があって。下足場で、ユキさんと鉢合わせして」
「ほう」
「一緒に雨宿りしてたら」
「そういや通り雨が降ってたな」
「雨があがったから、送ってくれたんだよ」
バスが来るまで一緒に待ってくれて
優しいなって、思った。