はやく俺のモノになればいいのに
「あのさ、モモ。御幸先輩は――"おじいちゃんとおばあちゃんになっても一緒にいたい"なんてキャラじゃないかもしれないよ」


みんなの前と2人きりのときでは、まるで別人みたい。


「こんなこと聞いたらショックだと思うけど。あの人、明らかに女の子慣れしてる」
「私も……そう思う」


ユキさんは、躊躇うことなく私に近づいてくる。


「でしょ?」
「あんなに素敵なんだもん。これまでに彼女いても不思議じゃないね」


そう言いながら、少し胸が痛んだ。


ユキさんが他の子の頭を撫でたり手を握ったり、抱き締めたりしたかもって思うと――泣きそうになる。


「本気で惚れたんだ?」


実柑の言葉に、頭を縦に振る。


認めざるを得ない。


私の中はユキさんでいっぱいになってる。


「なら。引き返せって言っても、無駄みたいだね」
< 92 / 553 >

この作品をシェア

pagetop