スイセン
お花を貰った時も、その中に手紙が入っていたこともすごくすごく嬉しいのに。

私に貰う価値はあるのかなって不安になっちゃった。

いつもありがとうなんて言ってくれたけど、私の方こそ本当の本当にありがとうなんだよ。

こんな私なのに彼は…帆嵩くんはそばにいてくれてる。

でもいつか遠くに行っちゃうかもしれない。
私の事なんて要らなくなっちゃうかもしれない。

いや、今ももう要らないかもしれないのに。

いなくなって欲しくないから。そばにいて欲しいから。

「嬉しすぎてまた涙出てきちゃいそう」

そう笑顔で帆嵩くんを見つめるけど、本当は今にも怖くて不安で泣き出しそうだ。

「久しぶりに会った友達とはどこ行ってきたの?」

彼の言葉に、そういう事にしてたんだった。と慌てて思考を巡らせる。

「丸の内の方にあるカフェだよ!」

「おお〜前に言ってたお洒落な内装のところ?今度俺も連れてってよ」

うん、と元気に返事をしてロールキャベツをまた口に入れた。

本当は病院に行っていただけ。

病院に通っていることは帆嵩くんも知ってるけど、頻度を誤魔化すためにたまに嘘をついてしまう。

面倒くさい女は嫌われるってよく世間でいわれてるからさ。

(嫌われたくない)

ただそれだけ。

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