鳴り響け、復活のソナタ
「あ、ごめん。
全部お断りします。」
「「「「「「え~!?
なんで!!?」」」」」
小学生としての日々を過ごした6年間。
何度俺はこのセリフを言っただろうか。
どうして人は、
見た目で判断してしまうのだろうか。
お願いしたわけでもないのに、
本名の“藤原タケシ”ではなく、
【ゴリ】とみんな呼んでくる。
一言も発していないのに、
スポーツ万能として認知してくる。
断りを入れたのに、みんな俺を無理矢理そのステージへ連れて行く。
「ただいま。」
「お帰りタケシ。遅かったね?」
「うん。野球してきた。
でも1回打っただけで帰ってきた。」
「あ、電気屋さん来て直してくれたよ。
後で1回触ってみなさい。」
「ホント?じゃあすぐに・・。」
みんな、自分達の趣味は俺へ押しつけてくるくせに、
俺の趣味についてはバカにしてくる。
“似合ってない”、“勿体ない”
“何やっちゃってんの”
近所の電気屋さんが直してくれたワープロを立ち上げて、
新しいフロッピーディスクを入れて、
溜まっていた日記を再開する。
同級生の誰と何をしていても、
ワープロの前に座る時間の居心地の良さには敵わなかった。