鳴り響け、復活のソナタ


「音楽業界に疎い俺達でも、さすがに“クラベルジットコンクール”は分かるだろ?」


「ウハハ、その筋の連中にとっちゃ、オリンピックよりも権威ある日本発の世界大会か?」


「そこまでしか情報が拾えなかったから、

推測するに・・日本代表を決める最終選考会であの子は敗れて、

そのままピアノの前から姿を消したようだ。

ゴが密告してくれた“母親の死”も影響したのかもしれないな・・。」



「ゴリよ、変な欲は出すなよ?」


「・・?」


「ウハハ、あいつが歩んできた人生なんざ俺達の知ったことじゃねぇ。

あいつがピアノを弾けるからなんだ?

今のキョウコは少なくとも、
このトロフィー持ってるガキじゃねぇ。」


「確かに・・この写真を見ると・・

お前が言ってた“死んだ魚の目”の意味がようやく分かった気がする。」


「ウハハ、“特技は特に無い”と言った今のあいつが全てだ。

てめぇの意思でピアノのイスから姿を消したんだろ?

だったら他人の思惑で無理矢理座らせる必要は無いぜぃ?

明日からも引き続きパシリ2号に変わりはねぇ。」


「・・・・あぁ。お前の言う通りだな。」








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