鳴り響け、復活のソナタ


「スマホ越しだけど十分伝わってるよ。

fi☆veの中に飛び込んで、キョウコの表情は変わってきたじゃないか?」


「・・・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・。」


「メンバーのみんなと一緒に過ごして、
色んな事に挑戦して・・

すごく楽しいし、すごくやり甲斐があるし、
すごく充実してるよ・・。」


「・・・・・・・・・・。」


「空っぽが少しずつ満たされてるって・・自分でも実感してる。」


「・・・・・・・・・・・。」


「でも・・ごめんお父さん・・。」


「・・・・・・・・・・・・。」



「・・乗り越えられない・・・。」



「まだ・・ピアノに触れないんだね?」


「レッスン場に立派なピアノがあるの。

先生がいつもそれを使って、

私達は発声練習したり、
曲に合わせて歌ったりするの。

・・だからこの手を伸ばせば届く・・。

この手のひらを伸ばせば、
指先は簡単に届く・・。」


「・・・・・・・・・・・・・。」


「動画のコメント欄とか・・
fi☆veのインスタとか・・

色んな方面から、
私の事を褒めてくれるお声を頂いてる。

すごく嬉しくて励みになるけど・・

でもきっと、イッセイが私を補欠から上げないのは、バレてるからだと思うの・・。


レッスン中、
私だけ目線が下に向いてるのを・・。

みんながピアノを弾く先生の方を見て一生懸命発声してるのに、

私だけ床のフローリングを見つめて、

ピアノから目を逸らしてる事・・
イッセイに気付かれてると思う・・。」


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