鳴り響け、復活のソナタ
「ウハハなになに・・・
{彼女が鍵盤に指を置いた瞬間、
周りの空気は一変する。
彼女が一音奏でる度、
徐々にそれは始まる。
圧倒的なパフォーマンスが会場を包む中、我々は気付く。
目の前で奏でる彼女に支配されているという事を。
最早、指揮者なんざただの秘書に過ぎない。
最早、オーケストラなんざただのボディーガードに過ぎない。
日本が生んだ“努力の天才”は、現在この世界に存在するピアニストの中で一番の支配者だ。
その洗練された指先で、
白石カンナはピアノを、
観衆を、全てを支配する。
だから私は最上級の賛辞とリスペクトを込めて、彼女の事をこう称したい・・
“壇上の独裁者”。
談:マルタ・アルゲリッチ}
・・ウハハ、誰だこのババア。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「キョウコよ、これが今の世界だ。
ピアノを“支配する”・・
白石カンナが今の世界の天下だ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・お前のピアノはどうなんだよ?」
「!?」
「ウハハ!白石に惨敗したお前のピアノはどうなんだよ?
世界は今や、
こいつを中心に回ってるんだぜぃ?
お前が母親から教えられたピアノは、
この女よりも下なのかぃ?」
「・・・・・・・・違う・・・。」
「あ?聞こえねぇなぁ?
どうなんだよ死んだ魚の目!!?」
「違う!!!!!!!」
「ウハハ!だったら証明してみせろよ?
嘘偽りのない、お前の全力をよぉ?
ガキが嬉しそうにトロフィー持ってる写真を撮った記者が、
そのガキの事をこう評価してたぜぃ?
{“音楽”とはまさにこの事だ。
ピアノがまるで生きているかのように、
まるでじゃれ合っているかのように、
彼女はピアノと“戯れる”。
嬉しそうに、楽しそうに、
喜びに満ちあふれる。
終始、音を楽しむ彼女こそが、
世界で活躍できる逸材だ。}
・・ウハハ、写真の無断使用、
肖像権の侵害で訴えたかったら俺の100人の弁護士軍団を貸してやるぜぃ?」
「・・・・・・・・・・。」