鳴り響け、復活のソナタ


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「・・なんかいやっても・・
いつもここでまちがえるの・・。」


「じゃあキョウコ・・
もう楽譜見なくてもいいよ!」


「え・・・?」


「楽譜になんかに縛られないで。

ピアノの面白いところは、

同じ曲同じ楽譜でも、弾く人によっていろ~~~んな顔に変化するところなんだから。

それが楽しいんだよ?」


「・・・・・・・・。」


「だから目の前にある紙切れなんかに縛られないで。

キョウコの頭の中で五線譜を描いて、

キョウコの頭の中で音符を踊らせればいいんだからねっ。」

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“え・・何も持ってないぞ・・?”

“おいおい・・
楽譜無しで弾くつもりか?”

“ちょ・・嘘だろ・・
なんだよあれ・・?”

“・・あの子・・天才だな・・”







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「・・スッ・・スッ・・。」


「キョウコ・・どうしたの?」


「・・スッ・・ヤダヤダ!
おかあさんといっしょじゃなきゃヤダ!」


「大丈夫。
いっぱい練習してきたじゃない?

お父さんと一緒に席から見てるから。」


「・・スッ・・スッ・・。」


「いい?キョウコ。

今日の発表会の為にずっ~と頑張ってきたのはどうして?」


「・・スッ・・スッ・・・・
ピアノが・・スッ・・すき・・。」


「・・・・・・。」


「・・・おかあさんに・・・・
スッ・・スッ・・きいてほしいから。」


「うん、じゃあキョウコ。
ギューッとして。」


「・・・スッ・・スッ・・。」


「・・・大丈夫。
一人でもちゃんと弾ける。

だから楽しんでキョウコ。

こんなおっきい場所で、たくさんの人の前で弾けるなんて楽しまなきゃ損だよ?

だからもう泣いちゃダメ。」


「・・・・・・うん・・。」

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「・・スッ・・スッ・・
絶対に金賞取るから・・!

お母さんを・・スッ・・絶対レインボーホールに連れて行くから・・!」


「・・・・キョウコ・・
・・違うよ・・?」


「・・スッ・・スッ・・え・・?」


「大切なのは・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・。」

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